2016年4月から情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻吉永・吉見研究室,策力木格研究室に移行しました.

吉永研テーマ


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吉永研究室では,分散・並列計算機のネットワークアーキテクチャ設計やその上での高性能プログラミングに関する研究を行っています.

研究概要

分散・並列計算機の研究

分散・並列計算機は,複数のコンピュータをネットワークで接続・連携させるため,1台のコンピュータよりもはるかに高い処理能力を発揮することができる.しかし,情報のやり取りや連携をどのように行うのか,故障が発生した場合にどのように対処するのか,といった問題を考える必要がある.また,世界最速のコンピュータを多数繋いだとしても,全てのコンピュータの性能をよく引き出し安定稼働させてはじめて,充分な効果が得られるのである.さらに,アプリケーションがその環境を使いこなすことも重要である.

光インタコネクト技術

次々世代以降のスーパーコンピュータ開発の大きな課題の1つに,ハードウェアの低消費電力化が挙げられる.低消費電力化と高性能化を両立するためのネットワーク技術として,光オンチップネットワークおよびチップ間光インタコネクトが注目されている.光インタコネクトに適合する通信方式は,従来の電気ネットワークのパケット通信と異なり,回線交換方式またはそれに類する通信方式となる.

当研究室では,光に適した新しい通信方式,高性能・高信頼ネットワーク構成および高速通信ライブラリを研究している.

専用ハードウェア支援によるビッグデータ解析基盤

インターネットとセンサ技術の発展により,社会と生活に関する膨大なデータの蓄積が続いている.巨大データの解析を通して新たな価値を発見しようとする試みは広く取り組まれているが,効率的なエネルギーで十分な計算速度を実現するには多くの技術的課題がある.特に,データの読み出し,並び替え,集約に要する時間は,計算時間全体に占める割合が大きく,効率を大きく悪化させる原因になっている.

当研究室では,光ネットワークとストレージを再構成可能デバイス(FPGA)を介して密結合するハードウェアを開発している.通信に要する処理を担うとともに,演算の一部がオフロードされ,データアクセスと計算を統合する,ビッグデータ解析のためのコンパクトで高性能な計算機システムの研究に取り組んでいる.

計算資源としてのクラウドコンピューティング

コンピュータを集積して強力な計算機システムを構成し,インターネットを介してその一部分を利用するクラウドコンピューティングが,計算機能の集約による運用コストの削減と場所を選ばないサービスが利便性の向上をもたらし,豊かな社会の発展を推し進めている.クラウド上に仮想的なコンピュータを生成して運用が可能になった現在において求められる課題は,性能と柔軟性を両立した仮想化環境の実現が挙げられる.物理マシン上で多数動作している仮想マシンは通常,高速なストレージやアクセラレータなどの物理デバイスを利用することができず,またその一方で物理デバイスを仮想マシンに割りつけた場合は仮想マシンの柔軟な運用ができなくなってしまう.

当研究室では,クラウドを構成する計算機システムにリソースプールを設けることで,仮想マシンが必要なときに必要なだけの機能と性能を利用できるクラウドシステムの研究を行っている.最小構成の仮想マシンからGPUや強力なプロセッサが利用可能になる構成により,消費エネルギーに対して引き出せる性能を高める研究に取り組んでいる.

高速通信ライブラリ

SMP型PCクラスタでは,CPU間の通信にはネットワークとメモリの双方が利用可能である.そこで,当研究室では,行列積計算などのアプリケーションを分散・並列処理する際に効率的に通信を行うため,通信モデルとタスクスケジューリングに関する研究を行っている.また,近年注目を集めているGPGPUを活用した並列計算アルゴリズムの研究を行っている.

ホームネットワーク

当研究室では,ネットワーク化された情報家電を有効利用するため,一般利用者向けミドルウェアの開発を行っている.これは,機器の操作や管理を容易にし,かつセキュリティに配慮したミドルウェアとなる.

データマイニング

コンピュータが人々の生活に浸透して以来,情報は溢れているが,この大量の情報を人手で整理・取捨選択することは極めて困難である.

そこで,当研究室では,必要な情報のみを自動的に取り出して利用者に提供するための技術を研究している.具体的には,サーバ群のログから大規模攻撃を予測する研究と,Webページから必要な情報だけを抽出するWebマイニング等の研究である.

アクセラレータ適合型科学計算アルゴリズムの開発

GPUやXeon Phiなど多数の演算ユニットを持つ近年のアクセラレータは,多数のスレッドが有効なSIMD演算を実行することで高速な計算を実現するが,条件分岐などのやや複雑な演算が大幅な性能低下を引き起こす傾向にある.そのため,アクセラレータでの実行に適するアルゴリズムを開発する研究が重要となっている.

当研究室では,遺伝子やアミノ酸などの生物情報の類似性を求めるSmith-Watermanアルゴリズムを主な対象として,アクセラレータ向けのアルゴリズムの研究に取り組んでいる.

アドバンテージ

アーキテクチャからアプリケーションまで幅広い視点で研究

当研究室では,分散・並列計算機の性能を最大限に引き出し,利用するため,アーキテクチャ,システムソフトウェア,アプリケーションについて横断的かつ多角的な視点から研究を行っている.

分散・並列計算機に関する研究は長年にわたり多くの人々によって行われているが,その大部分はソフトウェアのみ,あるいはアーキテクチャのみの研究に偏っており,当研究室のように多角的な視点から研究を行っている研究室は多くはない.

分散・並列計算機を設計する上で,計算機やネットワークアーキテクチャに関する深い知識が必要とされる.分散・並列計算機の存在意義は,アプリケーションを高速に安定して実行することであり,この目的のためには,アプリケーションの挙動や特性について多くの理解が求められる.

そのために,2005年度に開始された船井電機との共同プロジェクト「デジタル情報家電プロジェクト(FUN-Xプロジェクト)」に参加し,ホームネットワーク用ミドルウェアの開発を行った.

当研究室は,アーキテクチャからアプリケーションまで全てのレイヤーに広く取り組み,真に実用的な分散・並列計算機を提案している.効果的な利用方法を提示する上で,このことは大きなアドバンテージになっている.

今後の展開

基礎研究から一歩踏み出して応用面にも進出

当研究室ではこれまで,分散・並列コンピュータを対象とした基礎研究を主に行ってきたが,今後は,この基礎研究を実際に応用していくことを考えている.

2009年からは,スマートフォンなどのモバイルコンピュータをインターフェイスとしつつ,クラウドコンピュータで提供される巨大な計算資源を活用する研究を始めている.処理するタスクの適切な分散により,一般の人々向けに高機能なアプリケーションを手軽に提供する方法を探究している.

また,今後さらに重要性が高まっていくと思われるP2Pネットワークのセキュリティの研究,FPGAを用いた専用アーキテクチャによる処理の高速化にも,積極的に取り組んでいく考えである.

これまで積み上げてきた基礎研究を利用して,計算機システムの高性能・高信頼化を推進していくことはもちろんであるが,これからは,この基礎研究を展開して応用面にも力を注ぎ,高度情報化社会の発展・成熟によりいっそう貢献していきたい.

本研究室の研究内容は
【電気通信大学 地域・産学官連携推進機構 研究室紹介~ 共同研究はじめの一歩~ OPAL-RING】
にも紹介されています.

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情報ネットワークシステム学専攻
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